しめ縄づくりで年の瀬を感じる。
神様が宿る場所に飾る、しめ縄。神社はもちろん、岩や巨木などにもしめ縄が飾られるのは、そこに神が宿っているとされるから。つまり、しめ縄を飾ることで神聖なものと不浄なものとの境を示しているんですね。…まあ、難しい話はさておき、しめ縄づくりが始まると年の瀬を感じます。うちの集落でも昔から一年の最後の寄合の前日に、独身の若者が作り続けてきました。今はそうも言っていられないので既婚の男性ばかりですが、昔は厳しく守られていましたよ。一時は私ともう一人の二人きりのときもありました。でも、そのおかげでしめ縄づくりを体で覚えました。今では、集落のしめ縄づくりの監督役みたいな役割を任されています。
さあ、お酒で身を清めてから始めるとしましょう。これはあくまでも仕事ですよ。決して飲みたいから飲んでるわけではありませんから、そこのところよろしくお願いします!
誰でも作れる締め飾りの作り方を伝授。
今回は地元の神社に飾るしめ縄を作っているのですが、皆さんには簡単なしめ飾りの作り方をお教えします。まず材料の藁を15本くらい手にします。ここで短いものや長いものは省いて、長さを揃えましょう。そして、木槌でよく叩きます。根っこ側は弱く、先の方は強く叩きます。叩くのは、柔らかくして細工しやすくするためです。
そして、2手に分けて、ねじります。地方によって異なるのですが、これは右綯えでやっています。ゆっくりで構いません、螺旋状にすり合わせて…
先を結びます。ここで飛び出した藁をハサミなどで綺麗に整えましょう。
そして、途中に隙間を作って、そこに結んだ先を通し輪を作ります。もう一息ですよ!
続いてきたことを続ける。それだけ。
その後、輪の下の2カ所に藁を半分に折って飾りを取り付けます。ここでも、飛び出した藁を綺麗に整えるのをお忘れなく。藁同士でこすり合うと艶が出てさらに綺麗になりますよ。
糸できっちり結んで、仕上げです。
上に糸を付けると、ぶら下げたりするのに便利ですね。今日はここまでで終わりましたが、この下の飾りの間にウラジロ科に属する植物「裏白」と柑橘類の「橙」を足したいところですね。裏白は清廉潔白、橙は代々家が絶えることなく栄えるようにという願いで付けられます。
さて、うちの集落のしめ縄もようやくできたようです。まずまずですかね。私が20代でしめ縄を任されたときは、「なんじゃそりゃ?」状態でした。誰かがやってくれるものでしたから、しめ縄のことをよくわかっていませんでした。でも、自分の番が来たら絶対ですから毎年、無心でしめ縄を作り続けました。理由とか意味とかよくわからなくてもいいんです。続いてきたことを続ける。それだけです。…ちょっと語り過ぎたかな?ビールがきいてきたようです(笑)。年の瀬のしめ縄。いつまでも続けばいいなと思っています。
※2015年に取材した内容で再構成しています。
操夫の覚書き
・叩くときは、根っこ側は弱く、先の方は強く。
・伝統行事は極力伝承していこう。