「外国人の方が田舎の良さをわかってる」。平澤牧場が目指す“移住の入口”ハウス

書き手プロフィール
矢野竜広
1980年生まれ。会社員コピーライター、放送作家を経てフリーランスに。2013年、住み慣れた東京を離れて鳥取県へ。自宅にオフィスヤノを構え、WEBデザイナーの妻とともに夫婦で在宅ワークにいそしむ。無類のビール好き。 ブログはビアエッセイ・ドットコム。ツイッターのフォローはこちらから。
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日本海と大山の中間に位置する集落、楽仙。
大山町だと香取村が有名だが、実はここも開拓村がルーツだ。
自然豊かな、むしろ自然しかない圧倒的なロケーションで、
新たな楽しさを開拓する平澤牧場の平澤朝子さん。
彼女は今、外国人や旅行者の受け入れに力を入れている。
その理由と日々活動するなかで思うことを聞いた。

外国人の根強い支持。大山町は「原石の宝庫」。

「最近はグループの中に必ず一人は外国人がいる!今、本当の親日家は日本の田舎に来るんでない?」。

そうエネルギッシュに話す平澤さん。ついこの春までも、アメリカ人の旦那さまと日本人の奥さまのご夫婦が長期滞在していたのだという。

「農牧畜がしたいって言ってね。こっちに来てからはとにかく外で楽しそうにしていたよ。特に竹が珍しかったみたいで“東洋の神秘だ!”って目を丸くしていた。竹藪の整備や薪割りなんか喜んでやってくれてね。“ここは海も山も近くてコンパクトだ”と気に入ってくれてたんだけど、観光ビザが切れて今は一時帰国中。でも、“また必ず来る”って言ってくれてるよ」。
大山町豊成楽仙にある平澤羊牧場。ただし現在、牧畜業はお休み中。

 

他にも、ニューヨークでビジネスをしていた男性も大山町を気に入り、「ここは原石の宝庫だ。世界中に売り込める!」と感激していたのだとか。

「中国から来た日本人学校の教師一家は、北京の大気汚染が酷いから空気の良い場所に行きたいと言って大山町に来ました。空気も水も食べ物も美味しい。自然に囲まれてのんびりできる。私が思うに、どうやら外国人の方が田舎の良さをわかってるよ」。

平澤さんは一人で宿泊業をしているわけではない。地域やボランティアの仲間達と一緒に賑やかに行っている。

「大工や電気工事、農業、竹藪の整備なんかそれぞれ詳しい先輩達がいますよ。仲間は今も作ってる。来てくれた人にそんな仲間達を紹介できるのもここの良さかもしれないね」。

敷地内には陶芸スペースが。仲間の一人が講師を務める。

 

外から人を受け入れるようになったきっかけ。

平澤さんがゲストハウスを始めたのは、今から10年近く前の2010年のことだった。

「農家民泊をやりたくてね。当時は規制緩和の前だったから色々とルールが厳しくて大変だったわ。それから仲間の一人が中心になってラーメン屋を始めたのが3年前。陶芸教室やちびっ子バイクなんかもやり出して。宿泊に関してはAirbnbに登録したのが去年だ」。

平澤さんを中心に有志が集まり、今のようなある意味“何でもあり”な場所が整ってきた。では、そもそもなぜそよから人を受け入れるようにしたのだろうか。そこには、危機感があったという。

今年から始めるガーデニングゾーン。これからの進化が楽しみ。

 

「もう人よ。少子高齢化で畑も荒れる。とにかく人が減る一方で増える見込みがない!この楽仙も世帯数はそれほど変わらないけど、一人暮らしや高齢化で入院したりで人口が4分の1に減りました。風前の灯火で世帯もこれからどんどん減るでしょう。もう人が外から入ってこんと後が続かん。たとえ外国人でもいい人がいれば、ここに住み続けて欲しい。よその集落は血筋を大切にするかもしれない。でも、ここは元々が開拓村だから伝統やしがらみがなくて自由なのよ。私も60歳を超えました。自分自身が楽しむことも大事。だから、宿泊をやるのは自分自身のためでもあり、地域のためでもあると思ってますよ」。

さらに、この取り組みは町や県のためにも結果的になっている。

「今、移住希望者は増えてますよね。町も頑張ってるだろうけど、私は民間として移住者が増えるお手伝いができればと思ってる。ここが移住の入口になれば。でも、大事なのはまずは楽しく!田舎の暮らしや観光、自然や食事を楽しんでもらう。全てはそこからだ!」

宿泊棟としている母屋の外観。和の佇まいで外国人には特に好評。

 

今も将来も「楽しく!」がモットー。

1ヘクタールに及ぶ広大な平澤牧場には確かに楽しさが溢れている。ちびっ子バイクや陶芸教室といったアクティビティに加えて、カラオケルームまで用意されている。「この前、フランス人が粉雪を歌ってたわ。ドラマで使われていたから知っているとかで。日本のドラマも結構見られているのね」

大人気のカラオケルーム。無料で楽しめるのが嬉しい。

 

さらに、季節限定ながら敷地内で自生する植物の収穫もお楽しみの一つ。平澤さんに収穫できるものを聞いてみると、

「タケノコはもういくらでも。あとはサンショウやミョウガ、セリ、ミツバ、フキ、クワもね。梅やササは全部持って行っても大丈夫!以前、タイから来た人はタケノコの収穫で大喜びしていたね」。

自生しているサンショウ。タケノコ料理のお供に使えるのだとか。

 

大自然とアクティビティとスーパーホスト(Airbnbで実際にこの称号が与えられている)が揃う平澤牧場ゲストハウス。今後のことを聞いてみると、「楽しさ」というキーワードが返ってきた。

「将来とか関係なく、私の場合、ずっと“楽しく!”がモットーね。どんな場所にしたいか?と言われたら、答えは楽しい場所。それを私一人じゃなくて、みんなで作りあげる。場作りの過程も楽しんで、来てくれた人にも楽しんでもらう。楽しみ方にも色々あるけど、ここの場合は体験型の楽しさ。興味がある方は電話をください。090-5699-3503。HPもあるけど電話がいいのよ(笑)」。

「平澤牧場」から「平澤王国」に看板を変えた方がいいんじゃないですか?そんな冗談を言って帰途に就いた。家に到着したとき、本当に“帰国”したような感覚があった。

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