町の名物菓子「木の根まんじゅう」社長が商品に凝らした工夫を語る。

書き手プロフィール
谷岡 実太郎
木の根まんじゅうで知られる「木の根本舗」社長。和菓子職人。趣味は写真、わら細工。
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今回の木の根まんじゅうの商品の工夫編です。

いよいよ木の根まんじゅうの記事は最終章となります。

餡や作り方、形を迷いながら変えた日々

産声をあげた当時の木の根まんじゅうを振り返ります。

味わいに関しては当初、そら豆を使用していたので少しクセがありました。また、そら豆は餡がたくさん取れないこともあり、一気にではなく少しずつ小豆の割合を増やしていきました。小豆にすることで日持ちもするし、質の向上にもつながったように思います。防腐剤は当初から使っていませんでした。日持ちさせ、色をよくするために蜂蜜を使っていましたね。

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蒸しまんじゅうから焼きまんじゅうに変えたことも大きかった。これはしっとりした食感を出すためです。そして、このタイミングで形も変えたんです。最初はやっぱり恥ずかしかったですけどね。それまでは普通のまんじゅうに「木の根まんじゅう」と焼印をしているだけでしたからインパクトに欠けていました。形を変えたことで個性が際立ったと思います。

 

商品が定まったら、それ以外のことにも注力

「むかしむかし大昔、大山の見えるある片田舎に松助という若者が住んでおりました…」

木の根神社に伝わる神話も、この出だしで始まるわかりやすい文章で伝えるよう努力しました。お客さん一人ひとりに口頭で伝えるのは限界があります。また、購入したお客様が由来を理解しても贈りものをされた人にも伝える必要がありました。店先では書で伝えるとともに、商品の中には小冊子を入れるようにしました。

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さらに、父が琵琶法師をしていたので木の根神社の唄も製作。「中山木ノ根小唄」は父が歌い、八橋に住む音楽の先生が音階を付けて誕生しました。箱も最初は色の薄い普通のものだったんですが、「それじゃ、印象に残らないよ」とお客さんに言われて真っ赤なものにしました。以来、好評を博しているので赤い箱を使っています。

お客さんに言われて行動に移したことの一つが、木の根まんじゅうの特大サイズを作ること。何度も試作を重ねて、サイズと美味しさの両方を兼ね備えたものをめざしました。結果、今のサイズが限界です。もっと大きいものだって作ろうと思えば作れますが、味の保証ができないのであのサイズで勘弁してください(笑)。

父と親方の魂を継ぎながら新しい味をこれからも

予想通り、国道9号線はたくさんの観光バスで賑わいました。砂丘から皆生、そして玉造へと人の往来が活発になりました。そんな人たちに目を止めてもらうため、特大の看板も作りました。8メートルはあったと思いますね。通りすがりの人が皆、「何だ、あれ?」ということになって注目を集めました。今もそうですが昔もまんじゅうは手作りでしたので、午後早々に売り切れる日も続出しました。また、お土産だけではなく、結婚式の引き出物として現在も指名いただいています。

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父が亡くなった後、一度砂糖を溶かす工程を短くしようとしたことがありました。弱火ではなく強火でやろうと。ところが、うまくいかないんです。そうか、弱火でじっくりには意味があったのかと気付かされました。いいものを作ることに一生懸命だった父からは様々なことを学びました。奈良の親方からも「最高の材料で最高のお菓子を心を込めて作る」ということを体で学びました。餡も生地も親方の味を継承しています。

 

二人から学んだことを次の世代へ伝えながら、懐かしくて安心できる味でこれからもじげの人を喜ばせたい。そう私は願っています。

 

前回の修行編

町の名物菓子「木の根まんじゅう」社長がまんじゅう誕生の裏側を語る。

構成:矢野竜広

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