人生初の落語鑑賞は東京ではなく鳥取だった*ライターの移住月記

書き手プロフィール
矢野竜広
1980年生まれ。会社員コピーライター、放送作家を経てフリーランスに。2013年、住み慣れた東京を離れて鳥取県へ。自宅にオフィスヤノを構え、WEBデザイナーの妻とともに夫婦で在宅ワークにいそしむ。無類のビール好き。 ブログはビアエッセイ・ドットコム。ツイッターのフォローはこちらから。
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たぶんイントネーションは「gackt」のそれ。

鳥取に来て「コレ人生で初めてしたな…」ということがよくある。

例えば、カメムシを退治する、ホタルを鑑賞する、川カニを捕まえる、回覧板をまわす、雪かきおよび冬タイヤ交換などなどである。いま例に挙げたことは、あまり都心では経験できないことに違いない。一方で、東京で経験していてもおかしくないのに、よく考えれば人生初が鳥取だなということもある。

その一つが落語鑑賞。僕は東京の文京区出身なので上野や池袋、新宿が近く、寄席の外観は目にしたことがあった。ところが、中に入って鑑賞したことは一度もなかった。鳥取に移住したらなおのこと落語からは遠ざかるはずだけれど、どういうわけか鳥取のさらに大山町で人生初の落語鑑賞をすることになった。人生とは数奇なものである。
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場所は中山温泉の生活想像館わくわくホール。演者は米子出身で2ツ目、立川談志の孫弟子にあたる立川らく人さんである。「らく人」と書いて「らくと」と読むようだ。おそらくイントネーションは「gackt」のそれでいいのだろう。
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一流の人は落語を聞くらしい。

会場の中に入ると、笑いに関する本の貸し出しコーナーが。
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色々あるんだな~と見ていると、気になるタイトルが目に飛び込んできた。
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『一流の人はなぜ落語を聞くのか』。なるほど、一流の人は落語を聞くのか。だから自分は一流にはなれていないのか…と軽くベコベコにへこみつつ、いや、今日から落語を聞く人生を歩んでいこうではないかと思いを新たにした。
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ちなみにこのイベント、主催は大山町下中山地区の地域自主組織、楽しもなかやま。前回はコミュニティ食堂のtanocyで開催したので、わずか数カ月でホール規模に昇格である。さらに、今回は前座付きだという。ワクワクする気持ちを抑えながら、わくわくホールの中へと入って行った。
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お客さんはなかなかの入り。後で聞くところによると、80人近くが入ったようだ。

そば食いで会場大盛りあがり。

落語に入る前に行われたのは、鳥取大学奇術部のマジックショー。奇術部というとインチキっぽい男の子たちばかりなのでは、という完全なる偏見を持っていたけど、鳥大の奇術部はかわいらしい女子ばかりだった。
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お客さんをステージ上に招き込んだ挙句に失敗、というマジシャンが一番やってはいけないシーンを目撃してしまったがまさにご愛嬌である。そして、らく人さんの登場。
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今回の演目は「牛ほめ」「権助魚」、休憩を挟んで「時そば」という3本。何の知識がなくても楽しめるものなのだろうか?と若干の不安はあったけれど、前段は世間話といった感じで何の引っかかりもなく笑えた。演目が始まってからもおそらく所々を現代語に直して話してくれているので、すんなり理解できた。ただ、たまにボーっとしてふと我に返ると話の流れを失っていることがあった。テロップやナレーションの付いたテレビ、セットや登場人物の動きで流れが追える演劇などと違って、ただ着物を着た男が話をするだけの落語というのは一瞬たりとも気を抜けない芸術なのだと妙に感動してしまった。手がかりは話す内容とトーンのみ。なるほど、確かに「話芸」だと。

そんななか、最後の「時そば」は「落語でする動きといえば?」と問われて誰もが思いつく「そばを食べる」ジェスチャー、いわば動きが楽しめる作品。
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そばを食べるたびに会場が盛り上がった。初めての落語、お腹いっぱいに楽しませていただいた。
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これまで未知の世界だった落語との接点になってくれたらく人さんに感謝である。これからはたまに落語を聞いていこうと思う。そう、一流の人になるために…。

※特別に許可をいただいて撮影しました。

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