運転超下手ペーパードライバーが田舎に移住した結果*ライターの移住月記

書き手プロフィール
矢野竜広
1980年生まれ。会社員コピーライター、放送作家を経てフリーランスに。2013年、住み慣れた東京を離れて鳥取県へ。自宅にオフィスヤノを構え、WEBデザイナーの妻とともに夫婦で在宅ワークにいそしむ。無類のビール好き。 ブログはビアエッセイ・ドットコム。ツイッターのフォローはこちらから。
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いつの間にやら5年が経過していた。

前に運転免許証を更新したのが2013年10月。
つい先日、免許証の更新連絡書が届いたのだ。
移住からの5年間…よくゴールドをキープできたものだ…
僕の目頭は熱くなっていた。

免許の卒業検定ではまさかの信号無視で一発不合格。

移住する年の初春。さあ、7月から鳥取生活が始まるぞ!という僕は一つ強烈な不安に襲われていた。

運転である。

鳥取で暮らし始めたら車は必要不可欠。ところが、僕は運転が大の苦手だったのだ。
そもそも19歳で岡山県は津山の教習合宿に行った際、同時に入校した人達に付いていけず完全に落ちこぼれた。路上教習では教官に「君の運転では生きて帰れる気がしない…」と恐れられ、それでも何とか卒業検定までこぎ着けたものの、信号無視で横の教官にブレーキを踏まれて一発不合格になった(奇跡的にブレーキが利いて助かった!と思ったら教官のブレーキだったのである)。

死ぬ思いで免許は取得したが、運転にからっきし自信がないので車に乗るのが怖い。大都会東京で運転をするなんて正気の沙汰ではないとすら思った。広告制作会社に勤めていた当時、会社の社長とプレゼンなどで行動を共にすることもあったが優雅に社長に社有車を運転をさせていた。

友人とレンタカーを借りた際、試しに運転をさせてもらったこともあった。車幅がよくわからずのろのろ走っていたら、左に駐車中のタクシーに異常接近したらしく、助手席で窓の外を眺めていた友人から「タクシーの運ちゃんの顔がキス寸前のところにあったんだけど!」と驚かれて僕の試走はすぐ取りやめになった。

東京と鳥取では運転の難易度がまるで違う。

たぶん運転に向いていないのだ。祖父の車を柱に強打させてドアの取り換えになったことも、単発バイトで車を運転したときは街の看板にぶつけたこともある。原付バイクで都内を移動していた大学時代、違反が重なって違反者講習を受けた。講習では安全運転活動とか言って街頭に出てティッシュ配りをさせられた。決してサングラスを外さないガラ悪ヤンキーがタトゥーの上に「安全運転」の腕章を付けて意外と大人しくティッシュ配りをしていたシュールな光景を今も覚えている。

気休め程度に東京でペーパードライバー講習を受け、鳥取にやって来た。

鳥取に来て実感したのが、ものすごく運転がラクだということ。東京の路上はとにかく人や自転車が多い。そのうえ、当然のことながら車やバイクも多い。一方、鳥取の郡部では歩行者がいない。鳥やイノシシしかいなくてむしろ人恋しくなるほどだ。自転車に乗っている人もいなければ、東京ではあれだけ見かけた原付も皆無。車も感覚的には20分の1くらいの量。

それと、運転を苦手だと思っていた20歳前後の頃と30代では、自分の意識が全く違うことに気付いた。シンプルに言うと、20歳前後の頃は「自分は事故に遭わない。死なねーだろ」と根拠なく考えていたのに対し、30代では「自分は必ず事故をする。死なないようにしよう」と注意深くなっていたのだ。思わぬところで「ああ、俺って大人になったんだな…」と気付かされた32の夜だった。

ストレスのない僕の唯一のストレス発散法。

もちろん、こちらでもヒヤッとしたことは何度かある。
交差点の右折で早く曲がり切ろうと思った瞬間、横断歩道を渡る歩行者が目の前に見えたときは心臓が止まるかと思った。高速道路に入るとき、自車のやや後ろの車ばかりに気を取られていたら真横に車がいたときも接触寸前だった。回転寿司屋の駐車場では空いた場所になかなか止められず、悪戦苦闘する僕のことを待ち客10人くらいが応援してくれるという事案も発生した(止まったとき米子の空に歓声が響いた)。

それでも、毎日運転をし続けることで運転に慣れ、何とか5年間大きな事故も違反もなくやって来れた。

運転が洗濯物干しのような日常の面白くもない単純作業になっている人も多いなか、僕は運転が大好きである。まず自分の自由に早く動けるところが素晴らしい。取材のときなど、家族から離れて一人になれるのも貴重だ。X JAPANやTM NETWOK、B’z、La’cryma Christiなど好きな音楽をかけて車内で熱唱するのは、僕の数少ないストレス発散法である(ストレスは溜まっていないが)。氷室京介の歌を大声で歌っているときは、対向車が近付くと氷室流の息継ぎで顔を隠すという技も習得した。

これからの5年間も無事故無違反で、好きなドライブを楽しみながら、好きな音楽をヒトカラ状態で熱唱して過ごしていく所存である。

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鳥取県大山町にある田舎暮らしの入門道場「のまど間」からリアルな田舎暮らし情報をお届けします。

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