6月である。
この月はこの辺りではホタルの月。
今年も5月下旬からチラホラ飛翔し、
今月中旬で200匹くらい飛んでいる。
今は次男がホタルウォッチングのお供。
これは僕の6月2日のツイートである。
次男とお風呂上がりに歩いてホタル観察へ。今夜は30匹くらいかな。一匹だけ近くに来たので記念撮影。#ホタル #田舎暮らし pic.twitter.com/fmhIen5ghU
— 矢野竜広『山陰クラフトビール』著者/田舎フリーランス (@beeressayist) June 2, 2020
この日はお風呂上がりに、もうすぐ4歳の次男と歩いてホタルを見に行った。
数は30匹程度だったので、ブレイク前夜といったところか。
5月の0匹の状態も見ているので、
30匹でもかなり喜んでいつまでも見ていた。
今住んでいる家に越してきたのは5年前。
当時は2歳になる長男を連れて行った。
年を追うごとにわかってきたのは長男が怖がりだということ。
いつしかホタルを見る楽しさより、
暗い場所に行く怖さが強くなり、お供しなくなった。
そこで次男である。
同じ親から生まれたのにこうも違うのか…
と驚いてしまうほど次男は暗闇や新しい経験を恐れない。
「ホタル見に行こうか?」と言うと、
「うん!」と付いてきてくれる。
今や懐中電灯片手に道案内までしてくれる優秀なお供である。
近所の家族や教育長の視察で賑わった夜。
先日は梅雨に入る前の最後の晴れの日で、
確実にホタルが乱舞することがわかっていたので、
多くの家族が友好館下の小川に集結した。
大人達は川を見下ろして「すご~い!」「綺麗!」と歓声。
子ども達は最初の30秒くらいはホタルを見るものの、
あとは暗闇で子ども同士でキャーキャー遊んでいる。
教育長も訪れて実に賑やかな夜となった。
…と言っても全部で20人とかせいぜい30人程度。
この大山町が、いや、鳥取県が誇る一大ホタルスポットは
まだバレていないので、ゆったり鑑賞することができる。
たぶん観光地化してしまったホタルスポットでは、
警備員的な人に「止まらずに進んでくださ~い」とか言われてしまう。
自分の子どもも含めてだけど、
200匹を超えるようなホタルの乱舞を近所で見られるなんて、
ここら辺の子ども達は本当に恵まれている。
彼らにとって、この夜のイベントが幼少期のいい思い出になればいいな
と思う。
決してお金では買えない贅沢がここに。
6月。
一年で最も日が長くなる月とは言え、
夕飯を食べ終わる頃には夜の帳が下りている。
夕食後、宿題をしたりすることも、
のんびり本を読んで過ごすことも、
動画を見て過ごすことも、ゲームをすることもできる。
早く寝てしまうことだって。
でも、この時期には「ホタルを見て過ごす」
という選択肢がある。
もちろんホタルに興味のない子、暗闇が怖い子は行かなくてもいい。
昨晩見たんだったら今晩行く必要もないかもしれない。
でも、この時期に「ホタルを見て過ごす」
という選択肢が毎晩存在するってなんて豊かなことなのだろう。
それに付随して、
・今年最初の一匹目を見た感動
・日を追うごとに少しずつ数が増える嬉しさ
・風呂上がりの火照った体に夜風が当たる心地よさ
・ふと空を見上げるとある満天の星空
・日本海に浮かぶイカ釣り漁船の漁り火
・日を追うごとに少しずつ数が減ってしまう悲しさ
…全部が味わえてしまう。
お金では買えない贅沢がこの町の、この月の夜には詰まっている。