夜に「ホタルを見て過ごす」という選択肢があること*ライターの移住月記

書き手プロフィール
矢野竜広
1980年生まれ。会社員コピーライター、放送作家を経てフリーランスに。2013年、住み慣れた東京を離れて鳥取県へ。自宅にオフィスヤノを構え、WEBデザイナーの妻とともに夫婦で在宅ワークにいそしむ。無類のビール好き。 ブログはビアエッセイ・ドットコム。ツイッターのフォローはこちらから。
Pocket

6月である。
この月はこの辺りではホタルの月。
今年も5月下旬からチラホラ飛翔し、
今月中旬で200匹くらい飛んでいる。

今は次男がホタルウォッチングのお供。

これは僕の6月2日のツイートである。

この日はお風呂上がりに、もうすぐ4歳の次男と歩いてホタルを見に行った。
数は30匹程度だったので、ブレイク前夜といったところか。
5月の0匹の状態も見ているので、
30匹でもかなり喜んでいつまでも見ていた。

今住んでいる家に越してきたのは5年前。
当時は2歳になる長男を連れて行った。
年を追うごとにわかってきたのは長男が怖がりだということ。
いつしかホタルを見る楽しさより、
暗い場所に行く怖さが強くなり、お供しなくなった。

そこで次男である。
同じ親から生まれたのにこうも違うのか…
と驚いてしまうほど次男は暗闇や新しい経験を恐れない。
「ホタル見に行こうか?」と言うと、
「うん!」と付いてきてくれる。
今や懐中電灯片手に道案内までしてくれる優秀なお供である。

近所の家族や教育長の視察で賑わった夜。

先日は梅雨に入る前の最後の晴れの日で、
確実にホタルが乱舞することがわかっていたので、
多くの家族が友好館下の小川に集結した。

大人達は川を見下ろして「すご~い!」「綺麗!」と歓声。
子ども達は最初の30秒くらいはホタルを見るものの、
あとは暗闇で子ども同士でキャーキャー遊んでいる。
教育長も訪れて実に賑やかな夜となった。

…と言っても全部で20人とかせいぜい30人程度。
この大山町が、いや、鳥取県が誇る一大ホタルスポットは
まだバレていないので、ゆったり鑑賞することができる。
たぶん観光地化してしまったホタルスポットでは、
警備員的な人に「止まらずに進んでくださ~い」とか言われてしまう。

自分の子どもも含めてだけど、
200匹を超えるようなホタルの乱舞を近所で見られるなんて、
ここら辺の子ども達は本当に恵まれている。
彼らにとって、この夜のイベントが幼少期のいい思い出になればいいな
と思う。

決してお金では買えない贅沢がここに。

6月。
一年で最も日が長くなる月とは言え、
夕飯を食べ終わる頃には夜の帳が下りている。

夕食後、宿題をしたりすることも、
のんびり本を読んで過ごすことも、
動画を見て過ごすことも、ゲームをすることもできる。
早く寝てしまうことだって。

でも、この時期には「ホタルを見て過ごす」
という選択肢がある。

もちろんホタルに興味のない子、暗闇が怖い子は行かなくてもいい。
昨晩見たんだったら今晩行く必要もないかもしれない。
でも、この時期に「ホタルを見て過ごす」
という選択肢が毎晩存在するってなんて豊かなことなのだろう。
それに付随して、

・今年最初の一匹目を見た感動
・日を追うごとに少しずつ数が増える嬉しさ
・風呂上がりの火照った体に夜風が当たる心地よさ
・ふと空を見上げるとある満天の星空
・日本海に浮かぶイカ釣り漁船の漁り火
・日を追うごとに少しずつ数が減ってしまう悲しさ

…全部が味わえてしまう。

お金では買えない贅沢がこの町の、この月の夜には詰まっている。

Pocket

のまど間BLOGについて

鳥取県大山町にある田舎暮らしの入門道場「のまど間」からリアルな田舎暮らし情報をお届けします。

RSSを登録

follow us in feedly