“母ターン”で母が移住してきたのでインタビュー*ライターの移住月記

書き手プロフィール
矢野竜広
1980年生まれ。会社員コピーライター、放送作家を経てフリーランスに。2013年、住み慣れた東京を離れて鳥取県へ。自宅にオフィスヤノを構え、WEBデザイナーの妻とともに夫婦で在宅ワークにいそしむ。無類のビール好き。 ブログはビアエッセイ・ドットコム。ツイッターのフォローはこちらから。
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“第2の人生”ならぬ“第3の人生”。

僕が東京から鳥取に移住する際、母一人(父はいないので)を東京に残すことに、後ろ髪引かれる思いがなかったというと嘘になる。

むしろ、大した親孝行もできずに離れて暮らすことになってしまい、申し訳ない…という思いがあった。あれから3年、なんと母が60歳を機にここ大山町にやって来ることに。最近、孫が祖父母のもとに移住する“孫ターン”なんて言葉が出てきている。それを当てはめると、さしずめ“母ターン”になるのだろうか。考えてみれば、移住する世代が若くなればなるほど、今後移住した子を頼って親が“母ターン”や“父ターン”で地方移住するケースが増えてくるのかもしれない。いや、増えないかもしれない。まあ、どちらでもいいのだけれど、「新生活はどうなのよ?」といったところを聞いてみようと考えた。

ちなみに、母は18歳までは高知県の四万十市(旧・中村市)で過ごし、その後は40年以上東京、主に後楽園にほど近い文京区で過ごした。よく定年後の移住で“第2の人生”というフレーズが使われるけど、それを当てはめると、さしずめ“第3の人生”になるのだろうか。

慌ただしかった引っ越しを終え、少し落ち着いた頃を見計らって“第3の人生”について聞いてみた。拠点は今在家の町営住宅。元々高知の田舎育ちだった母にとって、この地はとても住みやすいと言う。

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広い空の下、凛とした空気が流れている。

「教習所のペーパードライバー講習の帰り、送迎バスに乗って家の近くに来ると、両側に田園風景が広がってるんだけど、それを見ると“あ~帰ってきた~。落ち着く~”って気持ちにもうなってるね。私は元々が田舎育ちだから米子みたいな都会より大山町の方が合ってると思う。東京にずっと住んではいたけど、根っから人込みが嫌いなんだよね」。

現在、母は教習所に通っている。というのも、18歳で免許を取得して以来、筋金入りのペーパードライバーだからである。激安の軽乗用車を購入済みなので、自信が付いたら乗り回すことだろう(気を付けてください)。車がないと不便なのは確かにこの町のデメリットに違いない。では、この町の良さはどんなところにあるのだろう。

「大山町に移住したいって思ったきっかけの中に“空気が凛としている”というのがあった。身が引き締まるというか、空気がいい意味で張ってるのよね。あと、空が広いなと思った。高知は山が町に迫ってるからあまり空の広さを感じられないの。ここはホタルも見ることができるし、環境面は本当に素晴らしいと思う」。

「それと、みんな優しい人ばかり」。会う人会う人みんながいい人ばかりなのが印象的なようだった。

「役場の人や郵便局の人が本当にいい人で。皆さん、気持ちにゆとりがあるのが伝わってくる。一人ひとりに丁寧なのはすごく実感するね。あと、待ち時間が少ない(笑)。東京では金融機関も役所も待ち時間がものすごいけど、こちらでは待ったことがないかもしれない。たぶん仕事のキャパシティに余裕があるんだろうね。私も不動産会社に長年勤めていて、担当するお客さんが増えれば増えるほどどうしても仕事が手薄になってしまった経験があるから、適度なゆとりは大事なことだと思う。この前、工事をしてくれた中海テレビさんが電話をしてくれたのね、“その後、インターネットの調子はいかがですか?”って。こういうフォローも担当件数が限界に近かったらきっとできないことだと思う」。

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ご飯のジャーを開けたら中にムカデが…

では、「車がないと移動に困る」以外で大山町にマイナス点はあるのだろうか。

「いや、特にないけど…蜘蛛がやたら多いことくらいかな(笑)。近所の知り合いの方に話を聞いたら、“ご飯のジャーを開けたら中にムカデが入っていたことがある”って聞いてびっくり。まあ、でも虫のことくらい。あとはまだ冬を経験していないから、雪が降ったらどうなるんだろう?とは思う。最悪、食料を買い込んで家に引きこもろうとは思ってるけどね(笑)」。

最後に、こちらでどんな生活を送りたいか。やりたいことや送りたい生活について聞いてみた。

「こちらでは畑で野菜とかを育ててみたいし、山菜採りや魚釣りといった東京ではできないことをやってみたい。“田舎暮らしの師匠”みたいな人いないかな(笑)。それと、孫も娘たちも東京にいるから、時々は東京に戻ってお芝居を観たりもしたい。鳥取と東京を行ったり来たりして、一番いいバランスを見つけたいかな」。

書道が趣味で師範の資格も有している母は、来年の春頃から自宅で書道教室を開きたいとも語っていた。とりあえず移住後の印象はすこぶる良いようで、息子の僕もひと安心。せっかく近くに来てくれたのだから、これから親孝行する方向に持っていくことができたらある意味では幸いかもしれない、と言葉同様ぼんやり考えている。

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