毎度ご無沙汰しております、素潜り漁師の中村隆行です!
え?最後の更新が5月?いやあ、実に7カ月が流れてしまいましたね。
そうこうしているうちに年の瀬ですよ。
年の瀬と言えば…やらなければならないことがありますね。
一年の収支を計算する?そんなお金の話ではなく、もっと神聖なこと!
本日はしめ縄を作ります!
作務衣のうえに簑を着込み、精神を統一。
しめ縄作りは神聖なものですからね、私くらいになると正装しますよ。
作務衣の上に蓑。…来ました来ました、気持ちが入ってきました!
よっ!
すみません、本能のままに見得を切ってしまいました。実は来年、こんな姿を皆さんにお披露目する機会があるかもしれません。詳細は来年明かします。乞うご期待!
さあ、本題に移りましょう。まずは場所を作ります。次に何でもいいんですけどね、台を用意しましょう。私は板を用意しました。そして、ワラです。
え?ワラをどうやって手に入れるのか?
…仕方ありません。私流のワラのいただき方をこっそりレクチャーいたしましょう。
田舎暮らし人必見!ワラをもらうテク。
まず農家さんのところに行って大きな声で挨拶をします。
で、いいですか、よく聞いてくださいね。
「んっちわっ!」
わかりますか?重要なのは「っ」、小さい「つ」です。この小さな「つ」が小僧感を演出してくれます。「あげる」「もらう」の立ち位置が明確になりますね。必ず押さえておきましょう。
そして、次に
「ちょっとワラ、いただけないでしょっ◇△◎◇!」
ここでも小さな“つ”を強調して小僧感の醸成を意識します。後半部分は何を言っているかわからなくて構いません。「小さな“つ”」「“ワラ”という単語」「謎の勢い」この3つがあれば問題ありません。
すると、どんな言葉が農家の方から出てくるかわかりますか?
はい、こちら。
「おうおう、なんぼでもあるわ」
マジックワード来ました。この「なんぼでもあーわ」をいかに引き出せるか?が田舎暮らしの生命線と言っても過言ではありませんよ。
地酒で手を湿らせて丁寧に作っていく。
さあ、本題に移りましょう。むしろ、今回はワラのいただき方がメインなので、ちょっと巻きめでいきましょう。
最初は手を湿らします。鳥取の地酒を用意して口に含み…
ぶっっっ
と手のひらに吐き出して湿らせます。吐き出すときも小さな“つ”を意識していいかもしれませんね。
次にワラを10本ほど手に取り、根の部分を叩きます。叩くものはトンカチなど何でもいいのですが、私は流木を使っています。ええ、もちろん無料です。あと、使うワラはできるだけ青い方がいいですね。
ある程度、柔らかくなったらひさつけをします。
要はしっかり結びます。
見てもわからないと思うのでご一報を。
あとはないます。「編む」ではありませんよ、「綯う(なう)」ですからね。
これはコツがありますが、言葉で伝えるのが非常に難しい。もし本気で学びたい方がいたら手取り足取り教えますので一報ください!
続けていくとワラが細くなってくるのでワラを3本ほど足していきます。「3」という数字は大切ですよ。ロープも3回巻けばほどけません。何でもわからないときは3回やれば間違いありません。足してないて…を繰り返し、飛び出たワラを綺麗にカットしたらこの通り。
1本完成したら、逆に綯えたものも作ります。工程は同じなので、3分クッキングの要領で飛ばしますね。
さあ、2本できたら両者をつなぎ、
形を整えて、
真ん中をひさつけしたら、
完成です!
これで年が越せますね。
今年もお世話になりました。良いお年を!
私がしめ縄を自分で作るようになったのは12年くらい前です。
手取り足取り教えてもらう、なんてことはありませんでしたから、とにかく見て学ぶしかありませんでした。
でも苦労して覚えたぶん、体に染み付いているので一年経ってもやり方を忘れないんですよね。
もう私の1年のサイクルに組み込まれています。
生活に組み込まれていると言えば、このワラを漁のロープとして使う漁師の方もいるんです。
米の全てを無駄にしない先人の知恵、その姿勢を謙虚に学びたいものですね。
…そんなわけで、少し早いですが今年もお世話になりました。
酔い、間違えた、良いお年を!
構成:矢野竜広