日本酒にも生がある?生しぼりの楽しみ方を酒屋店主が教えます

書き手プロフィール
畑 真理子
こだわりの地酒やオーガニックワインが並ぶ「はた酒店」オーナー。趣味は山歩き。
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普通の酒と生しぼりはどこが違うの?

「生」のお酒と言うと、多くの人にとってビールの方が馴染み深いかもしれませんが、日本酒にも生があってとても美味しいんですよ。

お酒づくりの工程には、できあがった醪(酒になる前段階の液体)を酒と粕に分ける「しぼり」というものがあります。「しぼり」の他に「あげふね」、「上槽」、「槽がけ」といった呼び方をすることも。普通、お酒は火入れといって熱湯に浸す処理を行ってから出荷するのですが、「生しぼり」は火入れをせず、また加水もしない状態で出荷されます。その結果、「生しぼり」は新鮮でフレッシュな味わいに仕上がります。

少しややこしいのですが、「生」の日本酒には他にも種類があります。普通、日本酒は貯蔵の際と瓶詰め時の2回火入れをします。どちらか一方を省いたものも「生」と呼ばれるのです。

「生詰め」=貯蔵前は火入れをするけれど、瓶詰め時には火入れしない。

「生貯蔵酒」=火入れをせず生のまま冷蔵貯蔵し、瓶詰め直前に火入れして出荷する(貯蔵中が生なのでこの名を冠している)。

「生しぼり」は一度も火入れをしないので、最もフレッシュと言えますね。

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生しぼり日本酒の特徴とは?

うちの店オリジナルの「夢語 生しぼり」も先日、発売されました。毎年2月から3月なので、今年は少し遅いリリースになります。

よくお客様から普通の「夢語」とどう違うのか聞かれるのですが、フレッシュな味わいはもちろん、アルコール度数も「生しぼり」の方が2度ほど高いので飲み比べると違いははっきりしています。「生しぼり」は開栓後、早めに飲み切っていただくことをおすすめしています。

昨年は低温と爆弾低気圧の影響を受けて、酒米の「山田錦」と「強力」の収穫量が相当に減ってしまいました。杜氏さんも今年はかなり大変だったようですが、例年と同じように新鮮で上品な香りが特長の純米吟醸酒に仕上がりました。私個人的な意見ですが、今年の「生しぼり」は少し辛口であるように感じます。皆さんのお声もぜひ伺いたいですね。

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みんなで新酒を飲みましょう。

「生しぼり」は燗をせず、冷で飲むのがおすすめ。まだ寒さが残る時期なので、お鍋料理ときっと合うと思います。また、やっぱり桜の時期と重なりますから、お花見のお供にいかがでしょうか。

これまで20年間、「生しぼり」の登場に合わせて新酒の会を開催してきました。大山町の社会福祉協議会中山支所2階で100人規模の会を開いていたのですが、去年からは1回の集まりを小さくして何回かに分けて会を開いています。昨年同様、うちの店をはじめ、倉吉、琴浦、米子など色々な場所で今年もやります。

去年すごく思ったのですが、小さな規模で開催すると、参加された皆さん全員のご意見を伺えるのが嬉しいんです。「今年のは少し辛いね」とか「口当たりがすごくいい」「去年より香りがいいね」とか皆さん、おっしゃられます。米が違えば、お酒の味も変わります。毎年同じ味になるわけではありません。春になり、できたてのお酒の味わいについてみんなで記憶を総動員させながら意見を交わす。これも新酒の楽しみ方の一つです。

せっかくなので、皆さんもこの時期ならではのお酒を気心知れた方とお楽しみください。

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構成:矢野竜広

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